住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けながら、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指し、国では在宅医療や在宅介護の充実を推進しています。

その背景は・・

年々高くなる高齢化率・・鹿児島県は3人に1人が65歳以上

65歳以上の高齢者の人口は令和3年10月1日現在3,621万人。総人口に占める割合(高齢化率)は28.9%となっています。高齢化率は昭和25年が約5%だったのに対し、平成6年は14%、そして現在28.9%と年々上昇し、さらに今後も上昇を続けると予測されています。2036年には33.3%と3人に1人が65歳以上となり、2045年には36.8%と2.7人に1人が65歳以上となる社会が到来すると推計されています。

鹿児島県は、全国より高齢化が進んでいる・・

2021年度の高齢化率は33.1%と、すでに3人に1人が65歳以上となっており、2045年には40.8パーセント2.4人に1人になると推計されています。
この高齢化率は世界でも最も高い水準となっており、この超高齢化社会に対する様々な対策が求められています。

総人口および高齢化率の推移

総人口および高齢化率の推移

(出典 鹿児島すこやか長寿プラン2021)

 

60歳以上の約半数が自宅で最期を迎えたいと思っている!

60歳以上の人のほとんどの人が現在住んでいる地域に住み続けたいと考えています。
また、万一治る見込みのない病気になった場合も、最期を迎えたい場所は「自宅」と約半数の51%の人が答えています。次いで、病院・介護療養型医療施設が31.4%となっており、高齢者の多くが住み慣れた自宅や地域で出来るだけ長く過ごしたいと考えています。

完治が見込めない病気の場合に迎えたい最後の場所
完治が見込めない病気の場合に迎えたい最後の場所
(出典 令和元年度高齢社会白書)

 

高齢者の要介護者数・認知症の患者数は増加している!

介護保険制度における要介護または、要支援の認定を受けた人は、 令和元年度で655.8万人となっており、平成21 年度の469.6万人から186.2万人も増加しています。
また、65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年現在)と推計され、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されています。

要介護度別認定者数の推移
要介護度別認定者数の推移
(出典 令和4年度高齢社会白書)

認知症高齢者の将来推計
(出典 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス)

 

65歳以上の1人暮らし、夫婦のみの世帯が増加

65歳以上の者のいる世帯について見ると、 令和元年現在、世帯数は 2,558万 4,000世帯と、 全世帯(5,178万 5,000世帯)の 49.4%で約半数を占めています。また、 65歳以上の1人暮らしや、夫婦のみの世帯も増加傾向にあり、今後さらに増えていくと推計されています。

65歳以上の者のいる世帯数及び構成割合(世帯構造別)と全世帯に占める65歳以上の者がいる世帯の割合
65歳以上の者のいる世帯数及び構成割合(世帯構造別)と全世帯に占める65歳以上の者がいる世帯の割合
(出典 令和4年度高齢社会白書)

 

鹿児島県は、全国平均を大きく上回る

鹿児島県は、一般世帯に占める高齢単身世帯は全国2位、高齢夫婦世帯の割合は全国5位で、2040年には単独世帯と高齢夫婦世帯を合わせた割合が全国1位になると推計されています。
また、75歳以上の高齢者の割合も全国7位と高くなっています。

高齢者を地域社会全体で支えあう

今まで述べてきたように、今後一層高齢化が進み、高齢単身世帯や高齢夫婦世帯、認知症高齢者、要介護認定者が増加しています。また、自宅で最期を迎えたいというニーズなどもあり、こうした事から、疾病を抱えても自宅などの住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していく必要があります。そして、在宅での療養を支えていく大きな役割が在宅医療なのです。

高まる在宅医療のニーズ

在宅医療では、病院への通院がむずかしい患者さんの自宅や施設等を訪問して、診察や治療、処置、投薬などを行い、住み慣れた自宅などで最期まで暮らせるように支援します。

在宅患者訪問診療料等の件数の推移をみてみますと、往診料の件数は横ばいですが、訪問診療料の件数は大幅に増加しています。
訪問診療:患者宅に計画的、定期的に訪問し、診療を行うもの
往診:患者の要請に応じ、都度、患者宅を訪問し、診察を行うもの

在宅患者訪問診療等の件数の推移
訪問診療の件数
(出典 在宅医療の現状について 厚生労働省 令和4年3月9日)

 

また、訪問看護利用者数の推移をみてみても、介護保険、医療保険ともに増加傾向にあります。

訪問看護利用者数の推移
訪問看護利用者数の推移
(出典 在宅医療の現状について 厚生労働省 令和4年3月9日)

 

このように、在宅医療や訪問介護は、安心して人生の最後まで暮らすための必要不可欠なシステムとなっています。

鹿児島の在宅医療の充実のために・・
当クリニックでは積極的に在宅医療に関わっています!

在宅医療に求められる機能として、国では, ①退院支援 ②日常の療養支援 ③急変時の対応 ④看取りの4つ機能を挙げています。
この在宅医療において積極的な役割を担うのが病院や診療所などの医療機関ですが、訪問診療を行っている診療所は全体の約22%、病院は全体の約32%で、現状では訪問診療を提供している医療機関の数は十分とは言えない状況です。

訪問診療を行う医療機関数の推移
訪問診療を行う医療機関数の推移
(出典 在宅医療の現状について 厚生労働省 令和4年3月9日)

 

また、在宅での看取りを行っている医療機関の数は年々増加してはいますが、病院・診療所ともに全体の約5%に留まっています。

在宅での看取りを行う医療機関数の推移

在宅での看取りを行う医療機関数の推移
(出典 医療施設調査 厚生労働省)

 

全国的にみても在宅診療をさらに充実していく必要がありますが、当クリニックでは、在宅診療に力を入れており、お看取りも行っています。

確かな技術とまごころで安心できる在宅医療を提供し、患者様がご自宅で自分らしく笑顔で暮らせるよう誠心誠意医療サポートを行っていきたいと思っています。

 

【参考資料】

在宅医療のご案内